機械式腕時計の歩度調整とは?セイコー6R15でトライしてみた(自己責任!)

自動巻ムーブメントの歩度調整男の趣味

あなたの腕時計は正確に時間を刻んでいますか?

機械式腕時計の場合、1日に数秒進んだり遅れたりするのはごく普通のことであり、必ずしも故障というわけではありません。

一般的に1日に「−10秒 ~ +20秒」程度ズレるのは許容範囲内と言われています。

ロレックスやブライトリングなどクロノメーター規格(高精度ムーブメントを認定する規格)を通したものですら、1日に「−4秒 ~ +6秒」のズレは見られるのです。

ロレックスを腕につけたイメージ

とはいえ、いくら精度の良い腕時計でも長年使用していると次第に許容範囲を超えてズレていくことがあります。

その場合は専門業者にオーバーホールを依頼することになります。

腕時計技師さんが時計を分解掃除し、オイルを追加し、精度も調整し、新品同様にメンテナンスしてくれるでしょう。

ここである疑問が頭によぎりました。

精度の調整ってどんな作業をしてるのだろう?

それって自分でできないのかな?

もちろん本来は素人が手を出すような作業ではありませんし、故障しても自分の責任です。

以降では、私個人が所有する機械式腕時計の裏蓋を開け、見よう見まねで調整してみた事例を紹介します。

ただし(専門業者に依頼せず)ご自分で歩度調整することを推奨しているわけでは決してありません。

作業そのものは「自己責任」となることをご理解ください。

あくまでこの記事は、調整方法を理解することで機械式腕時計の仕組みにもっと詳しくなりましょう!という趣旨のものです。

機械式腕時計はどのような仕組みで時間の進み具合を調整できるのか?

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歩度調整について

歩度調整とは?

腕時計の精度(どのくらい正確に動作するか)を数値化したものを「歩度」といい、通常は日差に換算した値を指します。

要は腕時計が1日あたりどのくらい進むか、どのくらい遅れるかですね。

そして精度を上げて極力時間が狂わないよう調整することを「歩度調整」といいます。

調整方法

機械式腕時計の裏蓋を開けると、ムーブメントが姿を見せます。

ムーブメントの緩急針とヒゲ持ち

今回の注目ポイントは赤色で示した緩急針と、青色で示したヒゲ持ちです。

「緩急針」を操作してヒゲゼンマイの長さを変え、「ヒゲ持ち」ではテンプの振り幅を調整します。

腕時計技師

この作業は本来は専門業者が行うものであり、個人が行う場合は自己責任で、かつ細心の注意を払う必要があります。

  • 「ヒゲ持ち」の調整に関しては素人が手を出す範疇を超えていますので、「緩急針」の調整のみに留めておた方が無難です。
  • 「緩急針」の操作中にピンセット等がヒゲゼンマイに当たると壊れてしまいますので要注意です。
危険

緩急針」の調整はピンセット等を用いて行います。

緩急針」を「ヒゲ持ち」側に近づけるよう動かせば"時間が遅れるよう"調整され、逆に「緩急針」を「ヒゲ持ち」から遠ざけるよう動かせば"時間が進むよう"調整されます。

(ムーブメント上に「+」「−」が刻まれており、そこで時間が「進むか」「遅れるか」の判断ができます。)

緩急針」はとても小さな部品ですし、硬くて動かしずらいので、微妙な調整はかなり大変だということを知っておいてください。

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自己責任で歩度調整に挑戦してみた!

今回私が「歩度調整」に挑戦してみたのはセイコーの「SARB035」という自動巻きのモデルです。

グランドセイコーになんとなく雰囲気が似ていて「プアマンズ・GS」とも言われてりします。

ただ残念なことにこのモデルは既に廃盤になっていて、見かけることもなくなりましたね。

セイコーSARB035文字盤

このモデルには「6R15D」というわりと評判の良いムーブメントが搭載されているのですが、私の個体の場合(購入当初から)精度はそれほど良くもなく、日差は「−20秒」くらいです。

「+20秒」ならまだいいのですが、毎日そのペースで遅れていくのは精神衛生上よろしくない・・

ということで自分で「歩度調整」してみましたので紹介します。

もちろん危険を承知の上、自己責任で行った作業です。

「SARB035」の裏蓋はスケルトン仕様になっていてムーブメントを見ることができます。

今回調整する「緩急針」もしっかり確認できますね。

セイコーSARB035裏蓋

裏蓋を開けるためには特殊な工具が必要となります。

こんな形の工具で、実は100円ショップでも購入できたりします。

腕時計の裏蓋オープナー

工具にある2つの突起部分を裏蓋の溝にあて、反時計回りにまわずと裏蓋が外れます。

セイコーSARB035の裏蓋が外れた状態

ここからようやく「歩度調整」の作業に移ります。

ピンセットを使って「緩急針」を微妙に動かします。

セイコーSARB035の6R15Dムーブメント

この時計の場合、毎日20秒ほど遅れていくので"時間を進める"よう調整する必要があります。

そこで上の写真のように「緩急針」を矢印の方向にほんの少しだけズラします。

適当にズラしたけど精度はどう変わったんだろう?

精度を確認する際、「時計歩度測定器(タイムグラファー)」があればとても便利です。

この機器を使えば時計の日差をほんの数秒で測定できてしまうからです。

しかし素人の私がそんな機器を持っているはずがありません。

数時間(もしくは1日)放置して秒針がどうズレていくのかを確認することにします。

待つ時間が長いほど秒針のズレ具合がはっきり分かります。

時間が経ったら秒針を確認し、まだ遅れるようなら「緩急針」を先ほどと同じ方向にもう少しズラし、進みすぎていたら「緩急針」を逆の方向に少しだけズラします。

ひたすらその繰り返しになります・・

なんとも地道な作業ですが、やり始めたら満足いく日差になるまで続けるしかありません。

忙しく時計を修理する人

2021/08/04 追記

トライ&エラーを繰り返して、3日ほどでだいぶ良い精度になってきました。

素人の私が腕時計を壊すことなく、なんとか調整できたのはラッキーだったのでしょう。(喜)

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まとめ

機械式腕時計の場合、ムーブメント上にある「緩急針」「ヒゲ持ち」を微妙に動かして歩度調整することが理解できました。

今回は腕時計の勉強がてら自分で調整してみたわけですが、作業にはかなり気を使いましたし、ちょっとしたミスで腕時計を壊す可能性も大いにあります。

※この作業は自己責任になりますので注意してください!

改めて大事な腕時計のメンテナンスは専門業者に依頼することをおすすめします。