私たちが引っ越しを決めて部屋を探すとき、真っ先に不動産屋さんの店舗に行くことはありません。
まずホームページを開いて、どの不動産屋さんに行けばどんな物件があるのか? ある程度の下調べから始まります。
物件の場所や家賃、間取りといった文字情報はもちろんですが、リビング・洋室・キッチン・トイレ・バスルームなど、内観写真の多いコンテンツほど参考になります。

ここ最近は「パノラマ写真」を載せたホームページもよく見かけるようになってきました。
周りを360°ぐるっと見まわせるので(現地に行かなくても)お部屋のイメージが把握しやすく本当に便利です。
私たち利用者からすると(一部の大手不動産サイトだけでなく)地元の不動産屋さんも「パノラマ写真」も公開してくれたらどれほどありがたいか・・・。

不動産屋さん自身も世の中の流れから「360°パノラマ写真」の重要性は十分にご存知だと思います。
ただ、「どうやって撮影すればよいのか?」「どうやってホームページに公開すればよいのか?」が分からないという会社もあるかもしれません。

早めに覚えないと競合相手に負けちゃいそうで・・
この記事では、自社のホームページにも360°パノラマ写真を掲載したいと考えている不動産屋さんに向けて、撮影方法や公開までの手順について詳しく解説します。
お客様に喜んでもらえるようなホームページにして、成約率のアップにつなげていきましょう。
360°パノラマ写真とはどういうものか?
撮影するためのカメラについて
物件(お部屋)での撮影手順
ホームページ公開までの流れ(チェック項目)
360°パノラマ写真とは?
1枚の写真ではお部屋の一部が写っているだけです。
当たり前ですが、その反対側がどうなってるのか見ることはできません。

これに対して360°パノラマ写真というのはどこでも見わたせます。
ちょうどお部屋の中に自分が入ったような状態を想像してください。
パソコンならマウスを使って、スマホなら指を使って、見たい方向を変えられるのです。

マウス(または指)を左右に動かしてお部屋をぐるっと一周することもできますし、見上げれば天井の照明も確認でき、床を見下ろせばどんなフローリングなのかも分かります。

お部屋の作りがどうなっているのか、しっかり確認できるゾ!
これならわざわさ現地まで行って内覧しなくてもお部屋がイメージできちゃいますよね。
引っ越し先を探している側からすると、とってもありがたい写真なのです。
逆に不動産屋さん側にもメリットはあります。
パノラマ写真があることでお客様はある程度お部屋のイメージをつかんでいますので、「 あの部屋も・・この部屋も・・ 」と無駄に内覧することもなくなるはずです。

THETA( シータ )
では、どのようにして 360°パノラマ写真を撮るのでしょうか?

なんか大変そうだな・・
デジカメで何枚も撮影して、後でつなぎ合わせるのかな?
いえいえ、パノラマ撮影に特化した専用カメラを使うのです。
ここではリコーが発売している 「 THETA(シータ) 」 というカメラを取り上げます。
多くの不動産屋さんをはじめ、いろんな企業/個人が使っていて実績十分の有名なカメラです。
このカメラの両側には丸く出っぱったレンズが付いていて、まるでリモコンみたいな形をしています。
全方向を撮影するというと、何枚も撮影して、後でつなぎ合わせることをイメージするかもしれませんが、お部屋の真ん中で1回シャッターを切るだけで終わりです。
たった1回の撮影でお部屋全体(ぐるっと 360°)が保存されてるのです。

このときカメラの中に保存される画像もJpeg ファイルが1枚だけです。
この画像はパノラマ用の特殊な形式で保存されていますので、通常のフォトビューワーアプリで開いても正しくは見れません。( ぐにゅ〜っと波打ってるような画像が表示されるだけです。)
パノラマ画像として見るためには、THETA専用のビューワーアプリを利用するか、パノラマ画像専用のWeb サービスを使ってブラウザで見る必要があります。
360°パノラマ写真の撮影手順
THETAを使ってどのようにお部屋のパノラマ写真を撮影するのか、その手順を解説します。
撮影対象のお部屋が決まりましたら、THETAと三脚スタンドを持って現地に向かいます。
三脚スタンドは必須ですので、必ず用意してください。

お部屋に着いたらさっそく撮影開始です。
THETAとスマホをWi-Fi接続
THETAはスマホを使って撮影します。
これはTHETAと離れた場所からスマホを使ってシャッターを切るためです。

スマホの設定画面でWi-Fiをオンにすると、そこにTHETAのアクセスポイントが表示されますので接続してください。
THETAを設置
三脚スタンドを使って、お部屋の真ん中にTHETAを設置します。
(このとき三脚スタンドの高さは、どのお部屋でも同じになるよう統一してください。)

余計なモノを隠す
撮影に確認することがあります。ちょっとお部屋の周りを見まわしてください。
ルームクリーニング業者さんが置き忘れていった道具とか、工事業者の工具とかはありませんか?
廃材とか、ゴミとか・・放置物が置いてあったりしませんか?

THETAで撮影するとお部屋にある物すべてが写ってしまいますので注意が必要です。
せっかく撮影しても、余計なものが写ってしまってはお客様の印象が悪くなってしまいます。
お客様に見せたくないものはすべて別の部屋に一旦移動してくだだい。
撮影
撮影の際はあなたも別の部屋に移動する必要があります。
そこに立ってるとあなた自身も写真に写ってしまいますからね。
THETAから見えない場所に移動したら、スマホを使ってシャッターを切ってください。

1枚撮影するだけで、そのお部屋での作業は終わりです。
すべてのお部屋で撮影の繰り返し
次は別のお部屋に移動して、以上の作業を繰り返し行います。
玄関、リビング、寝室、キッチン前、洗面所、バスルーム、トイレ・・・とすべてで同じように撮影します。
(まわりの物すべてが写ることを意識して作業してください。)

部屋数が多いとなかなか大変な作業だと思います。
撮影に関する説明は以上ですが、いかがだったでしょうか。
良くも悪くもTHETAを使って撮影すると360°まわりの物すべてが写真に写ってしまいます。
そこで「お客様に見せたくない物は隠す!」というのが撮影時のポイントです。
撮影後のチェック&加工作業
撮影が終わったら「すぐにお客様に公開!」というわけにはいきません。
写真がどのように写ってるのか確認してみましょう。
もしお部屋が薄暗く写ってたらお客様の印象はきっと悪いはずです。

この部屋、日当たりが悪いのかな?
こんな薄暗い部屋には住みたくないなぁ・・
すぐに成約いただくためにも、不動産屋さんとしてはお部屋を少しでも良く見せる必要があります。
Photoshopなどの写真加工ソフトを使って、お部屋の写真を明るく補正しましょう。

チェックするのはお部屋の明るさだけではありません。
撮影した写真には、次のような不具合箇所が映り込んでいませんか?
(これらは撮影時には対処できなかったものです。)
- クリーニングのやり残しがある。(所々に汚れが残っている。)
- 壁紙がボコボコと浮いていたり(中に空気が入った状態)、破れた箇所がある。
- エアコンのダクトの穴が開きっぱなしになっている。
- コンセントの穴がカバーなしで残っていたり、電気ケーブルが壁から出っぱなしになっている。
お客様が入居するまでにはこれらを修理/修正しなければならないのは当然ですが、だからといって修理後に再度そのお部屋に行って撮影しなおすのは非効率ともいえます。
Photoshop などの写真加工ソフトを使って、お部屋の不具合箇所を消してしまいしょう。
汚れを消したり、壁の不具合を「なかったかのように」加工するのは簡単な作業です。
加工しきれない不具合は仕方がありません。あきらめて(修理後に)再撮影しましょう。
お客様からしたら「画像加工で誤魔化していたのか!?」と不信感を持たれてしまいますので、入居までには必ず不具合箇所を改善するようにお願いします。
信用あっての不動産業です。
ホームページに公開
ここまでパノラマ写真の準備が整ったら、ようやくホームページに公開してお客様に見ていただきます。

THETA画像の公開にあたっては専用のクラウドサービスを利用しましょう。
THETAを製造するリコー社自身が運営する「THETA 360.biz」というサービスや、スペースリー社が運営する「スペースリー」というサービスが不動産業に向いていいます。
(上記のサービス上だけでなく)自社ホームページにもパノラマ画像を公開したいと考えるかもしれません。
その場合は、クラウドサービス側で生成された「埋め込みコード」を自社ページのHTMLに貼ることで対応できます。
こうして360°パノラマ写真がお客様の目に留まるようになり、結果的に御社の成約に結びついていくことでしょう。
まとめ
不動産屋さんのホームページに360°パノラマ写真を載せることで、お部屋を探すお客様には貴重な情報を提供できますし、いずれ会社側には「成約」という形で利益をもたらしてくれます。
THETAを使えばパノラマ写真が簡単に撮影できます。
撮影の際にはお部屋全体が写ることを意識して丁寧に作業しましょう。
撮影後の画像チェック&加工もとても大切な作業です。
お客様にキレイな写真を公開してお部屋を気に入ってもらいましょう。
THETAを導入して、競合他社のホームページに負けないコンテンツ作りを目指しましょう。